ランドセルの中でつぶれかけたマーガリン。ファンシー文具黎明期のシール集め。夏休みを彩るカンユの甘さ。ふとした拍子にのぞき込む水たまりの底なし。はらっぱの上のどこまでも明るい空と土管……。日本は今よりずっとおだやかで、大人も子どももどこか純情で、そんなあの頃のよさを手放したくない。1960年生まれの著者が自らの子ども時代を文章と写真で丁寧に記録する、ノスタルジックなエッセイ集。