世界一お金のかからない娯楽、それが哲学
意味もよくわからないのになぜかグッとくる。哲学者の書くとぎすまされた言葉には、歌舞伎役者の切る「見得」と似た魅力がある。かたや大阪大学総長、かたやフリーライター、肩書きにちがいはあれど、ともに哲学にとことんイカれている二人が、キェルケゴール、サルトル、メルロ=ポンティからヘーゲル、マルクス、ニーチェまで、古今東西の哲学者23人の「グッとくるワンフレーズ」を題材に、哲学の魅力、おもしろさ、アブなさを語りつくす。ときにはんなりとやわらかく、ときに熱く繰り広げられる、極上哲学漫談。
【グッとくるフレーズの数々】
話をするのが不可能なことについては、人は沈黙せねばならない──ウィトゲンシュタイン
知覚はかつて一度も存在しなかったのである──デリダ
人間とは精神である。精神とは自己である──キェルケゴール
人間存在は必然的に、「それがあるところのものであるのではなく、
それがあらぬところのものでありうる」のでなければならない──サルトル
それゆえわれわれの研究は商品の分析から始まる──マルクス
複製技術のすすんだ時代のなかでほろびてゆくものは、作品のもつアウラである──ベンヤミン
運動における私の決意と私の身体との関係は、魔術的な関係なのである──メルロ=ポンティ
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