捜査のためとはいえ、死体の指なんかしゃぶりたくなかった。でも、それは誰かがやらなければならない仕事。
降ってくる死体、ゴキブリのシャワー、何千万匹のウジ虫のたてる音、豚の突撃、窒息自慰に失敗した男の遺したビデオ、手づかみのうんこ、精液でパリパリのパンティー。悲惨なのは「腐乱死体」だけじゃない。立入禁止テープの向こう側で起きている本当のこと。
女性CSI(Crime Scene Investigator 犯罪現場捜査官。日本で言う鑑識)が遭遇したトンデモ事件現場!
点滅するライトの向こうの本物の犯罪現場へようこそ――
民間採用のCSI(Crime Scene Investigator 犯罪現場捜査官)として10年を鑑識課で過ごしたデイナ・コールマンが、TVドラマだけでは決してわからない現実の事件現場とCSIの日常生活を赤裸々に語る。些細な窃盗から想像を絶する悪意の自殺、人騒がせな奇人から悲惨そのものの腐乱死体まで、華々しい武勇伝とは無縁、しかしプロ意識と頑丈な胃袋に支えられて過ごした鑑識での日々。鑑識のエキスパートとして第一線で仕事をするとはどういうことか――これまで語られることのなかった現実の物語が今明かされる。
――義憤と感傷をブラックユーモアで押し隠し、CSIたちは今日も現場を走っているのだ。
〜目次より〜
はじめに
第1章 ある鑑識の生活と意見
第2章 余は如何にして死体の指をしゃぶりし乎
第3章 グロテスク・アナトミー
第4章 わたしを現場に連れてって
第5章 動物は動物である
第6章 ホイール・オブ・ミスフォーチュン
第7章 さまよえる奇人変人
第8章 墓場から遠く離れて
第9章 トイレの中の物体X
第10章 素晴らしき哉、CSI!
第11章 サウンド・オブ・イノセンス
エピローグ
謝辞 |