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昭和のエートス
タイトル 昭和のエートス

著者 内田樹

定価 1,600円(本体価格)+税

ISBN 978-4-86238-118-7

発売日 2008/11/21

内容 歴史の進歩と、
科学への信頼と、
民主主義の
全能への夢が、
リアリティを
持った時代

昭和二十年八月十五日という「断絶」を受け入れ、生き抜いてきた〈昭和人〉の規範に則るならば、格差にゆれ、市場原理に翻弄されるいまの日本は、いかなるものに映るだろうか? 〈昭和の精神〉から、わたしたちがいま学ぶべきことはなにか?
生きるうえで必須であったはずの「貧しさに対する共感」のこと、負け方を忘れた日本人のこと、労働とは本来生き延びるための手段であること……。
『「おじさん」的思考』の著者の真骨頂。いまの時代で失われてしまった〈昭和的なるもの〉への痛切なオマージュ。反時代的心象に彩られた、極上のエッセイ集。

一九五〇年代から六〇年代初めまでに日本社会に奇跡的に存在したあの暖かい、緩やかな気分を「昭和的なもの」として私は懐かしく回想する。歴史の進歩と科学への信頼と民主主義の全能への夢がまだリアリティを持つことのできた時代がかつて存在した。そして、存在することを止めた。その息の根を止めることに私たちは間違いなく加担してきた。それゆえに、「昭和的なもの」を回想するとき私はいたたまれない気持ちになる。私は「昭和人」ではないが、その「いたたまれなさ」の感覚だけが「昭和人」たちから私が受け継いだわずかな遺産なのである。【本文より】

■第1章 昭和のエートス  
■第2章 国を憂うということ 
■第3章 情況への常識的発言 
■第4章 老いの効用、成熟の流儀 

著者プロフィール ●内田 樹(うちだ・たつる)
一九五〇年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。神戸女学院大学文学部教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論。著書に『ためらいの倫理学』(角川文庫)、『寝ながら学べる構造主義』(文春新書)、『「おじさん」的思考』(晶文社)、『村上春樹にご用心』(アルテスパブリッシング)、『ひとりでは生きられないのも芸のうち』(文藝春秋)、『こんな日本でよかったね』(バジリコ)、『街場の教育論』(ミシマ社)、『橋本治と内田樹』(橋本治との共著、筑摩書房)、『大人のいない国』(鷲田清一との共著、プレジデント社)、『身体知』(三砂ちづるとの共著、バジリコ)、『身体を通して時代を読む』(甲野善紀との共著、バジリコ)、『東京ファイティングキッズ・リターン』(平川克美との共著、バジリコ)など多数。『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第六回小林秀雄賞を受賞。




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